野球小説 えんのしたの声 頑張れ野球小僧たち!

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番外編 教え子 (前編)


佐久間コーチは練習が終わると誠たちチームのみんなを連れ出した。

そこは、夏の甲子園に向けての地区予選会場になっている球場。



コーチは、

「よーし、今日は応援するぞ!」

「・・・・・。」

みんなリアクションに困った。



そこには、コーチの教え子が何人かいた。

日頃、コーチに挨拶しにくるその教え子たちには、誠も何度か会っている。



この試合は彼らの晴れ舞台。

そして第1シードの強豪校との対戦で、最後の試合になるかもしれない。


佐久間は、努力家揃いだったその時の教え子の成長を楽しみにしていた。




試合前、挨拶に来たその顔は自信に満ち溢れていた。

「今日はやりますよ!見ていてください。」



強敵相手に臆する事なく、また、負ければ終わりという不安すら感じられない。

相手に不足なしと言わんばかり。

「お前ら相当練習を積んで来たな。良い面構えだ。頑張れよ。」



逞しく成長した教え子たちを前にして、とてもうれしそうな顔の佐久間コーチ。

誠は、そんなコーチを初めて見た。



「野球が大好きだったお前たちの先輩を応援してやってくれ。」

その姿を見て誠たちにいろんな事を感じ取ってほしかった。





さすが、第1シードという試合運びで試合が進んでいく。

流れは完全に相手が握っていた。


しかし、お互い良く鍛えられた選手たちはピンチを守り抜き、両者とも得点できぬまま最終回を迎えた。

この回を押さえれば延長だ。



誠たちは、すっかり試合に引きずり込まれていた。

応援する声にも力が入る。



土壇場の緊迫した場面。

不運なイレギュラーバウンドと、ファールで粘られての四球でツーアウト一塁・二塁のピンチ。



ベンチから伝令が出て、選手たちがマウンドに集まった。

見ている誠たちは、もう声も擦れていた。

「がんばれ〜。」

何も解らず連れて来られた球場だったが、コーチの教え子たちの戦う姿を見て、気持ちはいつの間にか一緒に戦っていた。  




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