携帯小説版
えんのしたの声


☆ 番 外 編 ☆
教え子(前編)


佐久間コーチは練習が終わると誠たちチームのみんなを連れ出した。

そこは、夏の甲子園に向けての地区予選会場になっている球場。



コーチは、

「よーし、今日は応援するぞ!」

「・・・・・。」

みんなリアクションに困った。



そこには、コーチの教え子が何人かいた。

日頃、コーチに挨拶しにくるその教え子たちには、誠も何度か会っている。



この試合は彼らの晴れ舞台。

そして第1シードの強豪校との対戦で、最後の試合になるかもしれない。


佐久間は、努力家揃いだったその時の教え子の成長を楽しみにしていた。




試合前、挨拶に来たその顔は自信に満ち溢れていた。

「今日はやりますよ!見ていてください。」



強敵相手に臆する事なく、また、負ければ終わりという不安すら感じられない。

相手に不足なしと言わんばかり。

「お前ら相当練習を積んで来たな。良い面構えだ。頑張れよ。」



逞しく成長した教え子たちを前にして、とてもうれしそうな顔の佐久間コーチ。

誠は、そんなコーチを初めて見た。



「野球が大好きだったお前たちの先輩を応援してやってくれ。」

その姿を見て誠たちにいろんな事を感じ取ってほしかった。





さすが、第1シードという試合運びで試合が進んでいく。

流れは完全に相手が握っていた。


しかし、お互い良く鍛えられた選手たちはピンチを守り抜き、両者とも得点できぬまま最終回を迎えた。

この回を押さえれば延長だ。



誠たちは、すっかり試合に引きずり込まれていた。

応援する声にも力が入る。



土壇場の緊迫した場面。

不運なイレギュラーバウンドと、ファールで粘られての四球でツーアウト一塁・二塁のピンチ。



ベンチから伝令が出て、選手たちがマウンドに集まった。

見ている誠たちは、もう声も擦れていた。

「がんばれ〜。」

何も解らず連れて来られた球場だったが、コーチの教え子たちの戦う姿を見て、気持ちはいつの間にか一緒に戦っていた。





番外編
教え子(後編)へ


携帯小説版
えんのしたの声
トップページへ